2023年04月25日20:00
4月9日と4月23日の両日に統一地方選挙が実施されました。23日には、衆議院千葉5区、和歌山1区、山口2区、山口4区、そして参議院大分選挙区において補欠選挙も行われました。まずは厳しい選挙戦における市民の皆さんのご奮闘に改めてエールを送ります。
投票率の低迷傾向がつづく中、前回統一地方選挙に続き、より多くの女性候補を含め、市民と立憲野党の共闘の先頭に立ってきた信頼できる候補が数々議席を勝ち取った一方で、道府県知事選挙などでは候補者や支援者の尽力にも関わらず苦杯をなめた現実があります。とりわけ大阪とその近郊の県では維新の勢力拡大を阻止することができませんでした。
衆参5補選の結果はさらに厳しいものでした。安倍・岸家のお膝元の山口の2選挙区はむしろ逆境の中での大健闘と言えますが、野党共闘で臨んだ大分でぎりぎりのところで競り負け、千葉ではそもそも候補者一本化ができなかったことが明白な敗因でした。奈良県知事に続き和歌山1区を維新に取られたことで、メディアはいよいよ維新が「全国政党化」し、立憲民主党に代わる最大野党になる勢いとはやしたてることでしょう。と同時に、ネオリベ・ポピュリズムを好むメディアの寵児である維新が自公の重要な票田を脅かす存在と今回認識されたことで、これから政権与党から維新への攻撃も増えていくことも予想されます。
歴史的な投票率の低さが示すのは、野党共闘以前に立憲野党各党の自力が不足し無党派層への訴求力を欠いていて、候補者一本化が実現した場合でも惜しいところで及ばない限界です。良くも悪くも政党の「ブランドイメージ」が明確な自公維各党に比べて、立憲野党は別々でも選挙協力しても何をしようとしているのかが充分に浸透しておらず、岸田政権に不満を持つ多くの有権者にオルタナティブとして認識されていない事態は深刻です。
この間、立憲民主党執行部は、維新と国会で「共闘」を推し進めてきた結果、立憲民主党の理念や政策的立ち位置がぼやける一方で、あたかも維新が自民党に取って代わるまともな野党であるかのような幻想を有権者に与え、維新に正当性を付与してしまった責任を直視する必要があります。立憲民主党はこれを期に、いのちと暮らしを守る立憲野党連合のリーダーとしての原点に立ち返り、憲法や安全保障政策に関しても自公維と明確に異なるスタンスを堂々と示すことなくして党勢の回復はありません。すでに昨年夏の参議院選挙の全国比例区で、維新に100万以上の得票数差をつけられたことをよもや立憲民主党は忘れたわけではないでしょう。
4勝したとは言え自民党にとっても精彩を欠いた補選結果だったことから、当座の解散総選挙は遠のいたと思われますが、来年9月の総裁選での再選を狙う岸田首相が年末年始あたりのタイミングで解散権を濫用する可能性は依然として高いと思われます。小選挙区制で勝負を制するには、野党共闘は十分条件でないにしても必要条件であることに間違いありません。立憲野党間で票を奪い合うのではなく、政治をあきらめてしまった人を呼び込むような大きな市民と立憲野党の共闘を、説得力と訴求力のあるかたちでつくれるかが私たちに問われています。
信念も責任感もなく右へ右へと漫然と漂流する岸田政権に民心がないことは明らかですが、強権的に弱者を叩いて溜飲を下げる維新ポピュリズムがこれ以上広がる前に、一人ひとりを個人として尊重し、平和で活力のある日本を前に進めるオルタナティブの提示を求めて市民は立憲野党を突き動かすことができるか、立憲民主主義の正念場です。今回の選挙を糧にして、よりいっそう大きな広がりをつくるべく、私たちは再び手を携えて立ち上がります。
2023年4月統一地方選挙と 衆参5補選を受けて≫
カテゴリー │市民連合
4月9日と4月23日の両日に統一地方選挙が実施されました。23日には、衆議院千葉5区、和歌山1区、山口2区、山口4区、そして参議院大分選挙区において補欠選挙も行われました。まずは厳しい選挙戦における市民の皆さんのご奮闘に改めてエールを送ります。
投票率の低迷傾向がつづく中、前回統一地方選挙に続き、より多くの女性候補を含め、市民と立憲野党の共闘の先頭に立ってきた信頼できる候補が数々議席を勝ち取った一方で、道府県知事選挙などでは候補者や支援者の尽力にも関わらず苦杯をなめた現実があります。とりわけ大阪とその近郊の県では維新の勢力拡大を阻止することができませんでした。
衆参5補選の結果はさらに厳しいものでした。安倍・岸家のお膝元の山口の2選挙区はむしろ逆境の中での大健闘と言えますが、野党共闘で臨んだ大分でぎりぎりのところで競り負け、千葉ではそもそも候補者一本化ができなかったことが明白な敗因でした。奈良県知事に続き和歌山1区を維新に取られたことで、メディアはいよいよ維新が「全国政党化」し、立憲民主党に代わる最大野党になる勢いとはやしたてることでしょう。と同時に、ネオリベ・ポピュリズムを好むメディアの寵児である維新が自公の重要な票田を脅かす存在と今回認識されたことで、これから政権与党から維新への攻撃も増えていくことも予想されます。
歴史的な投票率の低さが示すのは、野党共闘以前に立憲野党各党の自力が不足し無党派層への訴求力を欠いていて、候補者一本化が実現した場合でも惜しいところで及ばない限界です。良くも悪くも政党の「ブランドイメージ」が明確な自公維各党に比べて、立憲野党は別々でも選挙協力しても何をしようとしているのかが充分に浸透しておらず、岸田政権に不満を持つ多くの有権者にオルタナティブとして認識されていない事態は深刻です。
この間、立憲民主党執行部は、維新と国会で「共闘」を推し進めてきた結果、立憲民主党の理念や政策的立ち位置がぼやける一方で、あたかも維新が自民党に取って代わるまともな野党であるかのような幻想を有権者に与え、維新に正当性を付与してしまった責任を直視する必要があります。立憲民主党はこれを期に、いのちと暮らしを守る立憲野党連合のリーダーとしての原点に立ち返り、憲法や安全保障政策に関しても自公維と明確に異なるスタンスを堂々と示すことなくして党勢の回復はありません。すでに昨年夏の参議院選挙の全国比例区で、維新に100万以上の得票数差をつけられたことをよもや立憲民主党は忘れたわけではないでしょう。
4勝したとは言え自民党にとっても精彩を欠いた補選結果だったことから、当座の解散総選挙は遠のいたと思われますが、来年9月の総裁選での再選を狙う岸田首相が年末年始あたりのタイミングで解散権を濫用する可能性は依然として高いと思われます。小選挙区制で勝負を制するには、野党共闘は十分条件でないにしても必要条件であることに間違いありません。立憲野党間で票を奪い合うのではなく、政治をあきらめてしまった人を呼び込むような大きな市民と立憲野党の共闘を、説得力と訴求力のあるかたちでつくれるかが私たちに問われています。
信念も責任感もなく右へ右へと漫然と漂流する岸田政権に民心がないことは明らかですが、強権的に弱者を叩いて溜飲を下げる維新ポピュリズムがこれ以上広がる前に、一人ひとりを個人として尊重し、平和で活力のある日本を前に進めるオルタナティブの提示を求めて市民は立憲野党を突き動かすことができるか、立憲民主主義の正念場です。今回の選挙を糧にして、よりいっそう大きな広がりをつくるべく、私たちは再び手を携えて立ち上がります。
2023年4月25日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
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